みなさんこんにちは!国際社会学部2年ロシア語科、男子主将の森です。私は西洋史、とくにイギリス近代史に興味があります。今回は、タイトルにもある通り、イギリス史に関するおすすめの本を紹介したいと思います。
今回紹介する本は、金澤周作『チャリティの帝国―もうひとつのイギリス近現代史』岩波新書、2021年です。本書は、政府による公的な援助やチャリティ団体によるどちらかというと自発的な支援、富裕層による個人的な生活資金の提供などといった活動を事例としてあげながら、近世以降のイギリスにおいて人々の「善意」が困窮する人たちへのチャリティをいかに規定したのかを論じています。とても印象的なのは、名誉革命以降の市民社会の時代に、「有用」な物乞いと「無用」な物乞いが区別されていたことです。女性や船乗り、娼婦など、救済すれば社会の役に立ってくれそうな人たちは「有用」な貧者と見なされました。
一方、病気で働けないとか、あるいは何らかの理由で社会の役に立てない人たちは「無用」な弱者となりました。後者にどんな人たちが含まれるのかについてはかなりあいまいなところがありましたが、まさにそのゆえに社会が「無用」な弱者であふれかえってしまうかもしれないという不安は募るばかりでした。結果、物乞いを「撲滅」しようとする協会が設立されました。本書はほかにもいろいろ面白いことを言っていますので、実際に手に取って読んでみてください。金澤先生が「あとがき」で述べているように、本書は難解な理論を持ち出すことなく、問いに答えようとしているので、とても読みやすいです。受験生やイギリス史に詳しくない学生の皆さんにもおすすめです。
初めにも書いた通り、私の専攻語はロシア語、専攻地域はロシアです。しかし、3年次から始まるゼミはイギリス近現代史を扱うところを選びました。なぜ、ロシアではなくイギリスなのか?「なんとなく」です。伊東剛史先生の著作や研究が面白かったからという理由は一応ありますが、最終的には直感です。川上さんが「脱線」の中でおっしゃる通り、「ひとつのことから目線をそらすことなく真っ直ぐ向き合うことも美しいですが、いろいろな世界に寄り道するのも同じように美しい」のです。自分の直感に従い、気の向くままに「脱線」してみる(もちろん、そうできないときの方が多いのですが)。きっと、そうしているうちに、自分がほんとうにやりたいことに出会えるのではないでしょうか。この記事を読んだあなたが、あなただけの夢を見つけられることを願って。
今回紹介する本は、金澤周作『チャリティの帝国―もうひとつのイギリス近現代史』岩波新書、2021年です。本書は、政府による公的な援助やチャリティ団体によるどちらかというと自発的な支援、富裕層による個人的な生活資金の提供などといった活動を事例としてあげながら、近世以降のイギリスにおいて人々の「善意」が困窮する人たちへのチャリティをいかに規定したのかを論じています。とても印象的なのは、名誉革命以降の市民社会の時代に、「有用」な物乞いと「無用」な物乞いが区別されていたことです。女性や船乗り、娼婦など、救済すれば社会の役に立ってくれそうな人たちは「有用」な貧者と見なされました。
一方、病気で働けないとか、あるいは何らかの理由で社会の役に立てない人たちは「無用」な弱者となりました。後者にどんな人たちが含まれるのかについてはかなりあいまいなところがありましたが、まさにそのゆえに社会が「無用」な弱者であふれかえってしまうかもしれないという不安は募るばかりでした。結果、物乞いを「撲滅」しようとする協会が設立されました。本書はほかにもいろいろ面白いことを言っていますので、実際に手に取って読んでみてください。金澤先生が「あとがき」で述べているように、本書は難解な理論を持ち出すことなく、問いに答えようとしているので、とても読みやすいです。受験生やイギリス史に詳しくない学生の皆さんにもおすすめです。
初めにも書いた通り、私の専攻語はロシア語、専攻地域はロシアです。しかし、3年次から始まるゼミはイギリス近現代史を扱うところを選びました。なぜ、ロシアではなくイギリスなのか?「なんとなく」です。伊東剛史先生の著作や研究が面白かったからという理由は一応ありますが、最終的には直感です。川上さんが「脱線」の中でおっしゃる通り、「ひとつのことから目線をそらすことなく真っ直ぐ向き合うことも美しいですが、いろいろな世界に寄り道するのも同じように美しい」のです。自分の直感に従い、気の向くままに「脱線」してみる(もちろん、そうできないときの方が多いのですが)。きっと、そうしているうちに、自分がほんとうにやりたいことに出会えるのではないでしょうか。この記事を読んだあなたが、あなただけの夢を見つけられることを願って。